屋久島 2005.4.29〜5.6 :10回目の訪問

●7日目〜8日目です。


【5/5曇後雨:安房川リバーカヤック】
本日は安房川をカヤックで遡ってトンゴ滝を行く予定だが、この手前1km区間はザラ瀬や段差になった部分が数箇所もあり一般のカヤックツアーでは行き着くことが出来ない幻の滝である。ポピュラーな方法では途中から沢登りを行う事になっているが、カヤックだけを使ってチャレンジしてみる。とりあえず考えた手段としては・・・

 @遡上に行き詰まったら、一旦カヤックを畳んでザックに収納次の淵まで背負う。
 A遡上に行き詰まったら、カヤックを担いで次の淵まで持ち歩く。
 B何とかルートを行ける所まで行ってみる。

てなトコか。しかし、カヤックを膨らませるには、本体5箇所とシート類8箇所も空気を注入せねばならず、作業終了の暁には大量の汗と軽い腰痛が襲う。これを行き詰まりの度にやると空気排出も含めて26回抜き差し&ポンピング・・・し、死む。そもそもザックに押し込むのも一苦労なので上記手段@はボツとする。
永田の宿から本日の安房の宿へ向かい車を預け、必要な荷物を持って安房川船着場へ。20分程格闘の末、ようやく準備完了。
川面には既にツアー団体が3グループほど漕ぎ出しており、逸る気持ちを抑えながら準備運動をして10:10いよいよ出艇。昨日の海と違って波が無いので楽ちん楽ちん。船着場そばの川エビ出没ポイントでしばし佇んだあと、上流に向かってGO。ふと左を見ると、我が愛読書の著者でもある、自○島ガイドのNさんがいらっしゃる。ワシのカヤックを見て「いい舟ですねー」と声を掛けてくれた。おお感激。ツアーで使われているカヤックと比べると、値段は十分の一にも満たない安物なんですけどね。
一昨日までの大雨で、残念ながら川の透明度はかなり低いようだ。10:30川のカーブにある砂浜へ上陸して休憩。カヤックの背もたれ部分の空気が抜けかかっていたので補充して10:37また出艇。行く手には、右岸から水力発電所の排水が凄い勢いで流れてきており、正体不明のツアー団体が訓練をしている。訓練は排水の上流よりで行われていたので、ワシは左岸を進む事にする。横槍の流れに逆らって直進するのを楽しんでいたら、ツアーのガイドが漕ぐのを止めて夢中で講習を行っており、後ろ向きに加速しながらこっちに流されてきた。このままではぶつけられるので、急遽スピードUPしてぎりぎり難を逃れたが、バカガイドは何も気にしていないようだ。カヤックガイドの風上、いや上流に置けんヤツだ。
中州も過ぎて、高さ70mの松峯大橋の下をくぐり、川底がみるみる浅くなったところで11:07カヤック遡上の終点に到着。昨夏にY○ACツアー参加したときは、ここで引き返したが、今回はこの先どう行くかが課題だ。雨が降り始める中、とりあえずランチタイムとする。入れ違いで引き返したツアーのガイドさんは、「トンゴ滝?今の時期はウエットスーツ着用の上で泳いで行かないと駄目ですよ〜。」とアドバイスをくれたけど、さてどうするか・・・。
昼ごはんも終わり、とりあえず歩いて上流を偵察する事にする。いきなり這って登らないといけない大岩が待ち構えており、ここで上記プランA「カヤックを担いで次の淵まで持ち歩く」はボツ決定。両岸には岩で敷き詰められた川原が続いており、「これは、ひょっとすると、何とか歩いてトンゴ滝行き着くことができるかもしれんぞ」と希望が見えてきた。暫く歩くと左岸の川原は無くなってしまったため、川の浅いところを狙って右岸に渡る。深さは腰まであるが、そんなに冷たくは無い。今度は右岸に沿って歩き出すが、11:40こちらも川原が途切れる。目の前には両岸絶壁で挟まれた深そうな淵が不気味に鎮座している。目の前には小滝も流れており秘境感ムンムンだ。さっきは冷たくなかったといえ、この先長時間浸かっているとどうだか分からないし、この時期トンゴ滝へ行ってる物好きは居ないようなので、無理に進むと非常に危険そうだ。それに、この不気味な淵を泳いでわたる心の準備がどうも出来ないので、出直す事にとする。振り返ると松峯大橋が鎮座している。うは、まだ橋から眺められる範囲にいたのか。しょぼくれながら右岸を進み、川を横切って左岸へ渡り、カヤックのデポ地に戻る。
雨脚は強まり、さっきより水面が上昇している。川の段差を観察していると、右岸の方は邪魔な岩も水に沈んでおり、うまく避ければ遡上できるように思えてきた。カヤックに乗り込み右岸から20分ほど色々アタックを試みるが、今ひとつ奥の方の岩が邪魔で進めない。そんなしているうちにじわじわと水かさも増して川の段差がなくなってきた。これは下手すると鉄砲水も来るかもしれん。12:30身の危険を感じ、諦めて川を下る事にする。くそう、今度の夏にリベンジしちゃるわい。松峯大橋をくぐり、中州に戻った頃には川幅も十分広がり、鉄砲水の危険は無くなったようだ。中州ではY○ACが焚き木の煙をあげている。ああ、去年あそこで焼きサバと焼きソバ(うっ、もしかしてこれ、ダジャレも狙っていたのか?)を作ってもらったなぁ。その後は安房川のS字カーブを抜けて、短い船旅を惜しみながら安房橋の下を行ったり来たりして14:50船着場に上陸。
雨は本降りになったままで、後片付けをした後は駐車場で一旦着替えて、今夜の宿にチェックインする。落ち着いてメラの手入れなどやっていると、昨晩まで泊まっていた永田の宿の女将さんから「あのう、部屋のカギ、返してもらってなかったですが」と電話があり、ポケットを探ると確かにカギが。うひゃー、しまった。嵐の中、、車でほぼノンストップ1時間以上掛けて、島を半周してカギを返却に戻る。とりあえず、他のお客さんには影響もなかったようで一安心。逆に、たんかんジュースを一杯ご馳走になってしまった。うまかったです。女将さんとは顔なじみになっている事だし、(本日のトンゴ滝リベンジの為)夏にもまたお世話になりますと予告をして、また島を半周して戻る。それにしても、島の東側の安房と、北側の宮之浦はざんざん降りなのに、西側の永田は小雨でとりあえず無音の稲光だけ、というのが洋上アルプスの面白い所。行き:雷雨→大嵐→霧雨に近い小雨、帰り:霧雨に近い小雨→大嵐→雷雨、と雨の博物館を通過しているようだった。安房に戻った頃には雷も収まりぎみで、うまく安眠できた。





【5/6雨:屋久島発、福岡へ】
フェリーは昼過ぎ出航なので、ちょっと寄り道。トンゴ滝アタックで、昨年末は右岸のトロッコ道、昨日は中央から、と来たところで、左岸の探索がまだ残されている。そんな訳で左岸にある林道を攻めてみる事にする。
まずは、ホテルをチェックアウトして矢本岳へ向かう。生活道路から林道に入るとダート道に変わり、ちょっと登ってみたが愛車が傷みそうなので、林道入口から徒歩で行く。登山用の服に着替えるまでもなさそうなので、靴だけ履き替えて傘をさして登ってみる。トンゴ滝に近づいた所に210.3mの三角点があるので、そこが狙い目のようだ。雨は相変わらず激しく降り、雷も鳴っている。クワバラクワバラ。林道はダートとコンクリートが交互に続き、土台はしっかりして歩きやすいが、横に寝そべると「焼き芋ご〜ろごろ」そのまま来た道を転がっていきそうな急な坂で、傘をさしての上りがちょっとしんどい。途中、左側に林業用の道のような大きな刈り込みがあって気になるが、とりあえず無視することにする。林道入口から20分も歩いたところで、急だった上り坂は徐々に緩やかになり、右カーブの下り坂に変わった。うむ、近い、近いぞ。ふと左を見るとヘアピンカーブになった林業用らしき車道があったので、そちらに進んでみる。その車道の先は、すぐに右に曲がり、資材置き場のような広大な空き地になっていた。周りに大きな木は無いが土手で囲まれている。空き地の奥に進むと人の歩いた形跡があり、這い上がって行くと、あった、三角点だ。三角点の周りは更地になっていて視界バッチリなのは意外だった。森の切れ目で安房川対岸のトロッコ道筋もよく分か。あれじゃ確かに、トロッコ道からトンゴ滝にはまだ遠すぎて見えないな。安房川もわずかに見えるが、うまい具合トンゴ滝付近のようだ。ビンゴォ。でも大雨のおかげで水量が多すぎて何が何やら良く分からない。しかも、ギリギリの所に木が生えていて邪魔でしょうがない。とりあえず、三角点の周りをうろうろしたり、その先にある鉄塔まで行ったりしてみたが、ギリギリの所に木が邪魔しているところがベストポイントのようだ。うう、ちょっと悔しい。
三角点付近からトンゴ滝へ続く道も探してみたが、やはりなさそうなので、ここへ来る途中で見かけた刈り込みの道へ行ってみる事にする。復路の坂道は普通に歩くと勢いが止まらないので、ピョンコピョンコ跳ねて下りなければならず、ちょっとしんどい。林道をだいぶ下ったところ、例の刈り込み道の入口に着く。車一台分位の幅を綺麗に刈り込んでいるが、あまり利用されていないようで土が軟らかい。トンゴ滝が見えるポイントが無いか、また隠し道が無いか、周りに集中して進むが両脇の森は濃いままだ。道幅が広い割りにはアップダウンが激しく、傘を差しながら急斜面を滑らないように下るのは至難の業だ。林業用にしては変だし何の道だろう、と思った矢先、目の前に鉄塔が現れた。何だ、こいつのメンテナンス道だったのか。道は更に続いているので、トンゴ滝への隠し道に期待して進んでみるが、さっきの三角点そばの鉄塔にたどり着いたので、元来た道を引き返す。急斜面に苦戦しながら、僅かな可能性にかけてトンゴ滝への道を探してみるが、結局見つける事はできなかった。まあ、トンゴ滝撮影も一応達成した事だし、良しとするか。(半年後に確認してみたら、三角点からの眺めでは、微妙な角度でトンゴ滝は隠れていのが分かった・・・)
愛車に戻った後は、裾がびしょびしょに濡れたズボンを履き替え、一路宮之浦港へ。
土産物を買って、環境文化村センターで映画と食事を楽しみ、フェリー屋久島2に乗船して福岡へ帰りましたとさ。




最後に、今回の屋久島紀行の反省。

【今回達成できた目標】
@トローキ滝(海に直接落ちている滝)を海面から激写
Aトンゴ滝の(ちょびっと)撮影
B羽衣滝を激写
C高盤岳トーフ岩への登山
D水量が多い安房川千○滝の撮影


【今回達成できなかった目標】
@トンゴ滝の(丸見え)激写
A翁岳山頂直下までの登山
B晴れたモッチョム岳からの眺め撮影
C晴れた太忠岳からの眺め撮影。
Dグラスボート乗船(笑)

と言う訳で、また行きます。


長文でしたが、以下コースタイム(と言うか山行記録)です。

●4月29日(鯛之川の羽衣滝 ピストン)
14:56 千尋滝展望台(モッチョム岳登山口)→15:15 旧原歩道分岐
→16:16 鯛之川渡渉点(5分休憩)→16:39 羽衣滝(10分休憩)
→17:00 鯛之川渡渉点(5分休憩)→17:45 旧原歩道分岐
→18:00 千尋滝展望台(モッチョム岳登山口)

●5月1日(高盤岳 ピストン)
10:00 淀川登山口→10:35淀川小屋→12:00花之江河→12:15高盤岳分岐
→(分岐を見落として30分うろうろする)→12:45高盤岳分岐
→13:00高盤岳山頂付近・トーフ岩(30分休憩)→14:00花之江河
→(雷が急接近した為、10分程体操座り)→
→15:40淀川小屋(10分休憩)→16:30淀川登山口