屋久島 2006.4.28〜5.5 :13回目の訪問

●4日目から8日目までです。


【5/1曇時々雨:一湊シーカヤック】
昨日はハードだったので、本日はのんびりすることにする。海亀産卵のこの時期、シーカヤックをやるとカメと出会う確立大、ということなのでマイカヤックで漕ぎ出してみようと思う。ともかくのんびりなので昼近くまで宿でだらだらしてると、島の海に詳しい常連客が「海亀なら四瀬がいいですよ。いなか浜の標識のちょっと手前に海に行ける小道がありますよ」と教えてくれた。ラッキー。
準備を整え、車に乗って島の北西へ向かう。しかし、永田に来て、いなか浜の標識を過ぎても小道の在り処がさっぱり分からない。吉田と永田を3往復ぐらいして、四瀬の廃道でうろうろした上で、どうも違うっぽいが海につながる小道を見つける。試しに途中まで降りてみると、ロープをつかんで下る場所もあるが、ちゃんと海岸に出るようだ。
それにしても風が強い。海はうねってはいないが、白波があちこちにある。時折パラっと雨が降るが一瞬で終わり、本降りにはならないようだ。
カヤックを大型トートバックに入れ、ロープを伝って急坂を降りていると、ロープが風化しているようでぶちっと切れた。「うげっ!」赤土の斜面をそのまま1mほどずり落ちただけで落下は収まったが、バミューダ(短パン)から覗いた向う脛が一面擦り傷になってしまった。何とか頑張って海岸に下りることが出来たが、そこは船着場のようなストンと切り落ちた岸壁で、どう考えてもカヤックは漕ぎ出せない。暫く悩んだ後、ここは水遊びの場でなく釣り場である事に気付く。やれやれ。10kg近い荷物を担いでロープが途中で無くなった斜面を這い登り、とりあえずで切れたロープを結び直し車に戻る。これ以上時間をかけても肝心の小道も見つけ切れないようだし、亀の産卵場である一湊海水浴場に目的地を変えよう。
場所は変わって北の一湊。小山に囲まれた入り江なので、さっきと打って変わって風も波もほとんど無い。砂浜にアベックが一組座っているだけで、広い海水浴場には誰もいないのが気になるが、カヤックを漕ぐにはいい状態だ。腰を痛めながら手押しポンプで26箇所の空気口に吹き込み終わったのは14:45だった。レジャーやるにはかなーり遅くなってしまったな。海に漕ぎ出すと、東と西の海岸にそれぞれ帰り仕度中のダイビングツアー団体が居て、皆でこっちを見ている。多分「今頃から一人で漕ぎ出していますよ。やけくそですかねぇ」とガイドが言っているだろう。海水浴場の沖には防波堤を兼ねたような人口の岩場があり、『海中にサメよけの網があります』旨の看板にドキリとするが、注意深く周りを観察したところサメは居ないようだ。
20分程波に身を任せて漂流してみるが、亀がいる気配が全くない。やっぱり素人の思いつきでポイントを決めてもダメなのか。仕方無いので、辺りを散策する事にする。まずは、以前から気になっていた、一湊の海から突き出た作りかけの橋の土台のような建造物へ。海水浴場のエリアから出た為か、ちょっと波が荒くなる。海面から突き出た部分で直径20m高さ40mはありそうな2本の円柱のうち、外海側の背の高い方へたどり着く。廃墟探索みたいで不気味な雰囲気があり、何だかぞくぞくする。遠目では分からなかったが、頂点は火山シェルターみたいな四角の穴が反対側へ貫通した家状になっており、そのテラス部分には船着場で見かけるT字型のロープ固定器具が付いている。作りかけか老朽化で壊れた橋の一部だと今まで思っていたこれは、巨大な船を停泊させる為のアンカーだったようだ。二本の柱が結ぶ先の陸地には、高いコンクリート壁で囲まれた工場跡のような半分廃墟化した場所(人は住んでいる)がある。造船所だったのだろうか?屋久島特産タングステンなど鉱物を積み込む場所だったのだろうか?それとも軍用船の立ち寄り場所だったのだろうか?謎が謎を呼んでしまった。
考えた所で分かりそうの無いので(←いいのかよ)、次は海岸の洞窟にある矢筈神社へ漕ぎ出す。近くの岸壁には、例の「謎の高速フェリー追突事故」の犯人一味だと思われる超巨大な丸太が2本打ち揚げられているのが見える。正面から矢筈神社を拝んだところで今日の散策終了。いそいそと一湊海水浴場に引き返す。17:00に砂浜に上陸するが、見渡す限り辺りには誰も居なくなっていた。カヤックの空気を抜いて畳み、駐車場に引き返すと、海水浴場のイベントステージ前でヤクシカが草を食っていた。こんな開けた所までやって来るのには驚いた。愛車へ戻り、帰り支度をしていると、さっきのヤクシカはただっ広い空き地に移動していた。ぽつんと止まったワゴン車に繋がれた飼い犬に近付き、吠え立てられても動じず、やがてはるか向こうの森へ消えていった。
宿に戻ると、「つぼやんさん、今日カヤック漕いでいたでしょ」と宿泊客。「やっぱり噂されていたのネ」とよくよく聞いてみると、ダイビング好きの女性は西のグループに、Y○ACツアーに参加していた男性は東のグループにいたそうだ。人気の宿で島内の遭遇率が高いとは言え、全く別行動の人たちから両側で観察されていたとは面白い偶然だな。
そろそろ宿の客も賑やかになってきた。ダイニングキッチンで語り合い夜は更けていく。


【5/2晴:休息日(島一周ドライブ)】
今日は『屋久島友の会』(←自称。福岡本部のみ。会員全3名、ワシ入れて。)のYカさんとMリさんが上陸して来る日。明日はYカさんと宮之浦岳に登るので、体力温存の為にまたもや休息だ。
8時頃起床して朝食を摂り、ダイニングキッチンで『里のイラストマップ』で探索ポイントを探していると、女将のA子さんが母屋からやってきて今日までの客のチェックアウト受付を始めだした。A子さんの用事も済んでワシと話をしていると、黒ずくめの服を着た女性が訪問してきて、A子さんと親しげに話しをしだした。このお方、何とこの『里のイラストマップ』作者Tさんではありませんか。3人で談笑しているうち、これ幸いとばかりに、イラストマップで気になる点について質問してみた。
「(湯泊区で)この地図のポイントでは、木立で『湯川の滝』が全然見れなかったけど、前は見えたのですか。」
「昔は見れたのよー。」(旬があったのか。)
「(小島区で)フキダシでわざわざ犬が強調されているけど、これは何ですか。」
「ああ、それね。辺りに特徴あるものが無かったので、そこの飼い犬を描いてみたの。でも、今は死んで居なくなっちゃったのよ。」(なんじゃそりゃ。)
「ワンちゃんとか描いておくと、飼い主の方が喜ぶの。一般住宅も実際の並び通りに描かないと怒る人がいるのよ。」(色々大変ですね。)
大作確実なので最後にとっていた安房&宮之浦区の取材をするとの事で、30分ほど話した後、再び去っていかれた。
近所の犬がけたたましく吼える中、見送りに外に出ていたたA子さんが笑いながら戻ってこられた。「上の家で早速吠え立てられているよ。」(いきなり不審者扱いか。笑。)
それにしても今日は暑い。汗を拭きながらそろそろ出かけようかと言い出したところ「部屋のクーラー入れましたから」とA子さん。折角の好意に甘えて、汗が引くまで居るつもりが、襲ってくる睡魔に負けてしまう。
11時、再び母屋から戻って来られたA子さんが「コーヒーは如何?」と呼びかける声に目が覚める。しまった二度寝しちゃったよ。
淹れたてのコーヒーを頂きながら再び談話。朝は曇だったのが、眩しい程の快晴になった。ようやく13時、名物ラーメン屋に寄ってどこかに行こうかと車に乗り込んでいると、Yカさんから上陸寸前を伝えるメールを着信。タイミング的に非常に良いので「お迎えは要りませんか?」と返したら、「何してるん?笑」と呆れられてしまったよ。
宮之浦港でYカさんMリさんを拾って、まずは昼食という事で一湊の喫茶店『と○どき滝がみえる』へ。以前にYカさんからメール問い合わせで紹介を受けた事があるが、予測不可な営業日と店名のイメージから今まで屋台だと思ってたら、ちゃんとした建物だったので驚く。中は狭いがそよ風が吹き抜けて心地よい。ベランダには、犬を従えてハンモックで休まれている方もいる。昨年末に念願の犬を飼い始めたYカさん、その犬を見て「花ちゃん(仮名、愛犬の名)の目に似てる・・・」とポツリ。肝心の料理は、オススメのカレーが残り少ないとの事でお二方に譲り、それならとデザートで腹を膨らます。結局、ルーがちょっと残ったそうで、お試し程度のカレーにも何とかありつけて満足。
今日の予定を話し合うが、たまには団体行動もしたいので、「滝巡り島一周ドライブ」をやる事にする。(Yカさん、本心休みたかったそう。すみませんね。)
喫茶店側の『布引の滝』を遠めに見ながら車に乗り込み、同じく一湊の『水車谷の滝』へ。『里のイラストマップ』作者Tさんアドバイスの通り、中学校の裏の細い道に入ると、傍らの森の中に滝を発見。車は中学校の側に止めると良いと言われたが、中学校に塀が無く道との境目がさっぱり分からず困る。「とりあえずここなら問題ないだろう」と思うところ駐車し、ヤブに入ったりして滝に近付こうとするが、途中で断念する。中学校の横の茂みには、ぽつりと一軒家があり、滝観察にはベストポジションのようだ。「この家の人いいなぁ」と3人話し合っていると、中学校から初老の方がやって来られた。不審人物だと怒られるのかと身構えていると、何と滝のベストビューポイントについて解説を始められた。聞けばこれまた何と校長先生で、その一軒家はご自宅だとおっしゃる。うは、校長先生直々かたじけのうござる。礼を言って車に戻ると、休み時間になったようで、大勢の学生が身を乗り出してこちらを見ている。何かしらウケているようで、恍惚感に浸りながら15:00一湊を発つ。(MリさんとYカさんは恥ずかしかったとか。)
途中、Yカさんのリクエストで、屋久島の著名な詩人の山尾三省が住んでいたという白河の集落に寄ろうとするが、余りの悪路に断念。
15:10、吉田へ到着。Yカさんが日高神社を見たいとの事で裏道をうろうろするが、道の狭さと集落の方の視線が気になり断念。代わりに細道の交差点にある岡エビス様の祠を拝む。後に知った事だが、この岡エビス様、最近のNHKドラマ『まんてん』の為に新たに作られた祠で、撮影後も集落の方の信仰の対象としてそのまま残ったものだとか。年代を感じさせる作りだったので全く気付かなかった。
15:20、永田いなか浜。砂はまばゆい白さで、海と空はまばゆい水色。いいねぇ。波間に戯れるMリさんとYカさんをぼーっと眺める。
15:50、永田横河渓谷。天然のプール。今まで雨の日にしか来た事が無かったけど、きらきら光る波間にぽつりぽつりと白い花が流れていく様は、何だか別天地に居るようでうっとりする。Mリさんは足を捲くって水に浸かり、岩山好きのYカさんは傍らの6mほどの高さの岩に登り、何やらタイタニックごっこをやっている様子。(お陰で、岩の大きさが分かる良い写真が撮れた。笑。)
16:30、西部林道に突入。新緑が綺麗だ。途中にお約束のヤクザルやヤクシカに出会うが、ヤクシカを見てYカさん「花ちゃん(仮名、愛犬の名)の目に似てる・・・」とポツリ。愛犬ラブなのは分かったって(笑)。国割岳展望所など立ち寄る。
17:15、西部林道から脱出、大川へ。『立神岩』や『大川の滝』を眺め、大川湧水を味わう。
17:35、栗生海岸。ワシがサンゴの石を拾っている間、何やら撮影に没頭しているYカさんとMリさん。後で写真を見せてもらったら、ハート型のサンゴを撮影していた。やっぱ女性は着眼点が違うわー。"森を見て木を見ない"ワシには目からウロコだった。
18:04、中間。車がくぐれるアーチ型の大ガジュマルと記念撮影。
18:40、原。『千尋の滝』を眺めた後、その下流の『竜神の滝』へ。時間は19時となり辺りは暗くなり始めたが、今日の滝ノルマは達成した。大満足。
そのまま、反時計回りに島を回り、安房の宿を予約しているMリさんを降ろす。ワシとYカさんは、明日早いので宮之浦のスーパーで夕食を含めた買い出しをして宿へ。Yカさんは近所の宿だそうだ。お疲れ様でした。
YN○Cでは夜にスライドショーを見に行き、その後宿に戻って手っ取り早くピラフの元でチャーハンを作るが、多く作りすぎた。明日の昼食が増えたからまあいいか。宿の仲間とプチ宴会して、23時頃就寝する。



【5/3曇後雨時々晴:淀川登山口〜宮之浦岳 日帰りピストン】
5:30 辺りはぼんやりと明るい。近くの宿から出てきたYカさんを車で拾ってGO!
因みに、Mリさんは、山登りする体力が無いとの事で、単独でヤクスギランド散策をするそうだ。
安房からの山道は、同乗者が居るのでいつもよりゆったり走ってみたが、Yカさんに取っては速かったようだ。というか、前を走る車から何回か道は譲ってもらったが・・・(中央線は絶対はみ出さず車間確保がモットーですので、暴走行為ではありませんぞ)
6:57 淀川登山口に一旦行ってみるが、GWのこの時間帯、流石にあちこち路肩は車だらけで、結局500m程引き換えして駐車スペースを確保する。
7:09 淀川登山口に到着。いざ登山開始!すっかり明るくなったが、辺りは霧が流れて、どんより曇っているのが気になる。
7:42 淀川小屋。宿泊者はほとんど行ってしまったようで、居残り組(?)がほそぼそと荷造りを行っている。淀川歩道橋を渡ると、川にもうっすらと霧がかかり、流れる水の透明さがいっそう引き立てられている。
8:54 小花之江河。霧が濃くてさっぱり見えない。今日は晴れの予報なのだが、大丈夫かいな。
9:02 花之江河。祠にお参りして軽くパンを食べた後は、木道下のコケをウオッチング。以前は手のひら位の株に育ったモウセンゴケが生えていたが、辺りを探してもどこにも居ない。絶滅したのか諦めかけたところ、よくよく見ると親指の先位の株があちこち芽生えている。おおカワイイ。
9:35 黒味岳分岐。
10:04 投石岩屋。Yカさんは以前ここを通った時、行く手で待ち構える案内板もあるのに、岩屋の存在に全く気付かなかったそうだ。こんなに自己主張の強い岩屋なのに笑える。そういうわけで岩屋の中を隅々まで堪能する。単独行では無理だったアングルの写真も撮れてワシも満足。
10:48 翁岳の水場。水を汲んでいると、「つぼやん、見て、すごいよ」とYカさん。辺りの茂みを見るとあちこちアセビ(?)の白い花があちこちに固まって咲いている。4日前にここを通った時には全く気付かなかったけど、辺り一面花畑だったんだ。(カウベル爺に追い立てられて、そんな余裕が無かったせいかもしれんが・・・)
11:24 栗生岳山頂前。霧もだいぶ晴れてきた。岩の隙間にある一品宝珠大権現の祠を2人で拝みに行くが、やっと一人入れる狭い空間。ザックを背負ったまま後ろから憑いていくと身動きが取れなくなって、引き返してくるYカさんから怒られてしまった(笑)。
11:40 宮之浦岳山頂(50分休憩)。Yカさんは登頂と同時に三角点をタッチしに行く。辺りは晴れ上がったが、向かいの永田岳は見えそうでなかなか見えない。でも、昼食を食べながら辛抱強く(?)待っているとだんだん姿を現すようになってきた。すげー絶景!
風景を目に焼きつけた後は、こちらの一品宝珠大権現の祠も拝んで下山開始。
12:54 栗生岳山頂前。Yさんは道の脇にあちこち咲いている薄紫の草花が非常に気になる様子(後で筑紫猩々袴(つくししょうじょうばかま)だと知ると、反復して暗記しようとしていた。)。時々霧がかかるが視界は悪くない。翁岳との鞍部の元ゲンコツ岩を正面から拝むチャンスにありつけたが、かろうじて残った岩も微妙なバランスで立っているように見えた。また十年もすれば、台風で形が変わるんだろうなぁ。
13:30 安房岳尾根。前を行く人が何やらザワザワしているので視線を追うと、横の土手のヤクザサ帯に角が生えかけたヤクシカが居て、ほんの数m先からじっとこちらを見ている。写真を撮ってくれといわんばかりの構えなので、みんな激写しまくる。Yカさん、「花ちゃん(仮名、愛犬の名)の目に似てる・・・」とポツリ。ハイハイ、分かった分かった(笑)。
遭難碑まで来ると、向かいの黒味岳がどかーんと正面に見えるが、ニキビのような頂上の人々の動く様子がよく分かり何だか面白い。
14:00 投石平。休憩のついで、巨石の上でホームページトップの写真を撮影する。Yカさんがカメラマンを引き受けてくれたお陰でようやく満足の行く『そこ』写真が撮れた。ありがとう。
投石平から下の小川にローブ場を下って行く途中、何やら「ピッチョーン、ピッチョーン」と澄んだ良い水音がする。ロープ場横の流れに行ってみると、何やら土台の大岩の隙間に雫が落ち、音が反響しているらしい。水琴窟みたいだ。一面花崗岩の白ばかりなのに、そこだけ苔がびっしり生えて神秘的だ。このコースは10回位通ったと思うが、こんなポイントがあったとは知らなかった。
14:23 黒味岳分岐。小休止。黒味岳への茂みにはデポした荷物が点々と置かれている。主は今頃山頂で楽しんでいるのだろう。さっきまで晴れていたが、既に雲行きが怪しくなり、一瞬雨が降り出すが、すぐに止んでくれた。
14:33 花之江河。
14:52 小花之江河。霧が濃くなった。
15:47 淀川歩道橋。相変わらず霧は晴れない。秘密(?)の通路を通り、岸に下りて暫くまったりする。淀川小屋前を通ると、既に人だらけ。
16:32 淀川登山口。ワシらお疲れ様。でも、車はもうちょっと先だ。車について着替えているとバラバラ雨が降ってきた。おお、ぎりぎりセーフ、というかちょっとアウトか。
その後はいつものように山を車で下るだけ・・・と思ったが、紀元杉に来たところで事件は起こった。
通称ヤクスギランド線は、トラックだったら擦りそうなギリギリ一車線の道が多く、大型車に鉢合わせになると対向車は離合エリアまでS字バックを強いられる羽目になる。観光スポットのヤクスギランドまでなら「まあ、仕方無いかも」と思うが、更に20分ほど上がった所にある紀元杉前に大型バスが端から端へ直列4台、駐車スペース兼用広場の道を半分以上埋め尽くしている。まるで駅に着いたばかりの満員電車のように、映画『プライベート・ライアン』のノルマンディー上陸作戦シーンよろしく、乗客がそれぞれのドアから一斉に出てきてこちらの車をお構い無しに道路を横断している。「うわー、ガイドは何やっとんじゃー」と叫びながらバスをよくよく見ると、ワシの地元のN鉄バス。やっとこさ紀元杉前の広場を通過して細道に差し掛かると、同じバスが向かいから押し寄せてきた。離合箇所までバックすると、中でガイドが苦笑いでお辞儀しながら更に3台の大型バス。こんな暴挙はご当地のI崎グループもやった事無いだろう。よそ様の敷地で図々しく何やっとんじゃーい!
怒りも何とか収まった18時ごろ、宮之浦に戻る。一風呂浴びた後、睡魔が襲ってくるが何とか復帰。
行き着けのイタメシ屋に『屋久島友の会』お二方を誘うが、Mリさんは疲れたそうで今日はもう寝るとの事。Yカさんとつもる話で夕食を済ませた後各々の宿に戻る。
宿では、ようやくGWの賑やかさが来たようで、大勢ダイニングキッチンに座って談話していた。新しくチェックインした若者グループの中心的人物Mサさん、昨夏ここに泊まったときのボヘミアンFちゃんが夢中で「つぼやんが来る前に面白い人が泊まってたよ」と言っていた本人ではないですか。澄ましているのか、いつもぼーとしているのか(失礼)、ニヒルな目つきであまり話さないが、一度口を開くと中々鋭い言葉を次々に発する方だ。うわさ通り巨石マニアで、全国世界数々の巨石や奇岩について熱く語ってくれた。ただモッチョム岳の名前の由来を知らなかったそうで、ワシが教えて差し上げると凄く感動してくれて握手を求めてきた。そのうち、彼らが泊まってる離れの部屋に招待してくれて、合宿のような楽しい時間を過ごす。
それにしても、Mサさん達、明日は縄文杉登山なのに夜更かし。一緒に行く方々も装備はちゃらんぽらんな上、昼食の用意をしていない事に気付き慌て炊き出しを行っていた。大丈夫かいな・・・



【5/4晴:休息日(島一周ドライブ)】
元々は今日島を出る予定だったが、Yカさんが宮之浦岳同行を希望していた為に追加した予備日だ。でも、用件は昨日済んでしまったので、のんびり遠回りに島を3/4周して永田の民宿に移動する事にする。因みに、Yカさんは白谷雲水峡散策、Mリさんは趣味のダッチオーブンがセットになったシーカヤックツアーに行き、再び夜に合流する予定だ。奇しくも、ワシの出ていった部屋にMリさんが泊まり始めるそうなので、彼女の希望通りつぼグッズと、三岳のラベルに落書きして作った新酒『壷岳』を置き土産にする。
10時にチェックアウトして、11時開店の某人気ラーメン店で冷やしラーメンを食し、千尋滝の秘密の道を下見して、西部林道を越えて永田についたのは17時半だった。
永田の宿も顔なじみのところで、「また来たね」と宿帳の記入不要だ(笑)。
夕食は18時すぎに早めに取り、再び宮之浦に移動してY○ACのスライドショーでYカさんMリさんと合流。スライドショーの講師は後輩格のガイドさんで、時々試すような質問をして困らせているのは屋久島探検物の書物では良く名前が出てくるOさんではないですか。屋久島の情報交換サイトではお世話になっていたが、直に会えるとは嬉しい限り。
スライドショーが終わると、MリさんYカさんと某居酒屋に行って反省会。
反省会が終わった後は、Mリさんと入れ替わりになった宮之浦の宿にお邪魔する。ダイニングキッチンではまさにGW真っ盛りという人数で酒盛りが始まっている。やっぱりこうでなくちゃ。
Mサさん縄文杉ご一行は珍道中だったそうだが、GW人出の定点計測に参加していた当宿オーナーのS郎さんに、山の中で「よっ!」と声を掛けられたという。女将のA子さんが島の出来事にすごく詳しいのが皆不思議でたまらなかったが、行動派で人脈が広いS郎さんが情報源の一つだと気付いて皆で納得する。
トレジャーハンターコンビも昨日淀川登山口から戻ってきたそうで、「そういえば昨日、紀元杉で信じられない物見たけどさー」と切り出した。やっぱりというかN鉄バスの話だ。ワシら『屋久島友の会福岡本部』は「うちのバカがすみません」と平謝りする。
宴もたけなわ、夜も遅くなったので独り永田の宿に戻る。さっきまでの宮之浦の喧騒が嘘のように、ひっそりとして静かだ。今頃近くの砂浜では、亀が卵を産んでいるのだろうな。そそくさと支度をして眠りに付く。



【5/5晴:屋久島発、福岡へ)】
本日は島を1/4周して13時半発の宮之浦港のフェリーに間に合えば良いので、またまたのんびり行く事する。MリさんYカさんは宮之浦の宿から3.2km歩いたところにある自然公園で一日川遊びをするそうだ。
永田の宿をチェックアウトして、そういえばまだ行った事無かったなと、近くの『農村公園』を散策する。大亀のオブジェと記念撮影して永田川の河口の美しさに打たれ、宮之浦へ。宮之浦に着くと、土産を大量購入して、そういえばまだ行った事無かったなと『なごりの松原公園』を散策する。のんびり休む人たちの姿に微笑み、「超自然 スーパーネイチャー屋久島」の碑に苦笑する(超自然、ってオカルトかい!スーパーの使い方も違う気がする・・・)。
あとは、お決まりコース。環境文化村センターで映画と食事で締めて、フェリー屋久島2で仮眠して、九州自動車道を一路、福岡へ。







最後に、今回の屋久島紀行の反省。

【今回達成できた目標】
@小楊子川源流歩き
A羽神の滝撮影
B元ゲンコツ岩の撮影

【今回達成できなかった目標】
@小楊子川大滝の激写
A翁岳山頂直下までの登山
B晴れたモッチョム岳からの眺め撮影
C晴れた太忠岳からの眺め撮影。
Dグラスボート乗船(笑)

と言う訳で、また行きます。



長文でしたが、以下コースタイム(と言うか山行記録)です。

●4月28日(羽神の滝 ピストン)
16:02牛床詣所方面林道の終点→(30分道迷い)
→17:04羽神の滝(20分休憩)→17:50牛床詣所方面林道の終点

●5月1日(淀川登山口〜小楊子源流 ピストン)
5:06 淀川登山口→5:40淀川小屋→6:15高盤岳展望台
→6:36小花之江河→6:45花之江河(5分休憩)→7:01黒味岳分岐
→7:20投石平→8:05翁岳分岐→8:30宮之浦岳山頂(20分休憩)
→9:03焼野三叉路→9:24小楊子川源流分岐(小楊子源流で4時間放浪)
→14:30焼野三叉路→15:20宮之浦岳山頂
→17:00小花之江河→18:50淀川登山口

●5月3日(淀川登山口〜宮之浦岳 ピストン)
7:09 淀川登山口→7:42淀川小屋→8:54小花之江河
→9:02花之江河(10分休憩)→9:35黒味岳分岐
→10:04投石岩屋(10分休憩)→10:48翁岳の水場→11:40宮之浦岳山頂(50分休憩)
→14:00投石平→14:23黒味岳分岐(10分休憩)→14:33花之江河→14:52小花之江河
→15:47淀川(10分休憩)→16:52淀川登山口