屋久島 2003.8.1〜8.9 :6回目の訪問

●初日と2日目です。(コースタイムはレポート4/4)


【8/1晴:福岡発、屋久島へ】
前日22時に退社後、早めの夏休みへ突入(ワシの会社は8月一週目が夏休みなのだ)。
一旦家へ帰り、荷造り仕上げ。深夜1時半に愛車で太宰府I.C.入り。
4時〜6時の間えびのSAで仮眠をとり、7:50に鹿児島港着(フェリー屋久島2の港が移動していてビビった)。
8:35出航しはじめ、二等客室で昼寝する。11:30に甲板に出て島影を待つと、11:50頃から見え始める。
12:40頃屋久島上陸。小瀬田のディスカウント店で買い物を済ませ、安房の屋久杉自然館へ。
クーラーで涼んだあと、駐車場で昼食にする。
大川林道入口の駐車場を確認、大川ノ滝を鑑賞したあと、
西部林道を抜けて永田の宿に行き、明後日下山後の着替えを預ける。
ついでに永田歩道入口を確認する為、山へ向かうが、道が侵食されてる為途中で引き返す。
再び西部林道を戻り、尾之間温泉へ着くと、とっぷり日が暮れてしまった。
一風呂浴びた後、今夜の寝場所に大川林道入口の駐車場へ行くが、あまりの寂しさ・不気味さに耐えかね、新栗生橋へ戻る。
ここでは、明るいけどクドくないオレンジ色の街灯が沢山並んでおり、
地元の方がイスを持ち出して涼んで良い雰囲気を醸し出している。
夕涼みの方々の邪魔にならないように、バス車両基地の一角に車を停めて、夕食にパンを食べて寝る。
(昨年は、座席の上にセットするパイプベッドを作ってみたが、寝返りが打てずに失敗(笑)。
今年は、グローブボックスを外して足板を置いただけで、シートに寝てみたが、中々の寝心地だった)



【8/2晴:花山歩道】
5:20空が明るみ出したのを待ち、大川林道入口へ出動。
朝食後に荷物をまとめるが、愛用の腕時計が探し出せず、入山は結局7時半となる。
暑さにうだりながら林道を登り始めて30分もすると、車が10台位停められそうな裸地があり、
先に車で林道に入っていった初老の男性が、うまそうにペットボトルのお茶を飲みながら眺めを楽しんでいる。
もともと登山はしない方の様で、鹿之沢を越えて永田岳へ行くつもりだと答えると、大げさに驚いていた。
「花山歩道入口まで車で行けば良いのに」と言われてちょっと気持ちが揺らいでしまった。
(2日、試しに車で大川林道へ入ってみたが、やっぱり道が悪く、歩いたのが正解だったようだ。)
林道を歩き始めて2時間後、林道工事用らしき小屋が見えて沢の音が聞こえてきたと思ったら、花山歩道入口であった。
登山地図を確認すると林道入口から2時間40分とあるので、
「40分も早く着くなんて、ワシもやるじゃん」と自分を自分で褒めてみる。
(でも、この後、やっぱりそうでもなかったのを思い知らされる事になる)
花山歩道に足を踏み入れたとたん、明るいけれど直射日光が全く届かない森の中となる。
ただ、木は茂っているけど、ヤブは無いので結構歩きやすい。以外な事に、この季節だというのに、足元は落ち葉で覆われて茶色である。
それにしても、大川林道に踏み入れてから、一匹の蜂が纏わり付いてうざったい。
初めはスズメバチと思ってヒヤヒヤしたが、どうも大きめのアシナガバチの仲間なようで、
付かず離れず旋回するだけで、襲い掛かってくる気は無いようだ。
歩き始めて40分、ちょっと展望が開けた場所に出ると、小腹が空きだしたので、
ゼリー行動食を食べながら栗生の港を眺める。
岬を覆うような防波堤がユニーク。
カスミ谷展望台辺りで、体もオーバーヒート気味になり、動きが鈍くなり始める。
小休止をすると、相変わらずの蜂に加えて蚊がまとわり付いて、うざーい。
よく見ると、ヒル避けにと、虫除けスプレーを塗った所ばかりに集まっている。なんじゃこりゃ。
ガイド本にもあった通り、水場が全く無いので、水が必要な食事に不安を感じ、
行動食用のブドウロールパンが昼食メインになってしまった。
40分置きに1個の割合で食べるが、唾液が出なくて飲み込むのに苦労する。
登山地図によると、花山歩道入口から焼峰まで2時間半。「遅れているとは言え、
1時間も越えているからそろそろだろう・・・あれかな?それともその前のヤツかな?」と思っていても、
そばにある筈の大龍杉は一向に現れない。
花山歩道入口から4時間半たった頃、突如目の前に大龍杉が出現。
ガビーン!2時間近くも遅れている。「引き返そうか」と、ちょっと考え始める。
またまた、ガビーン。大龍杉は道に覆いかぶさっている上、離れると茂みに隠れてしまうので、写真に収めるのが非常に難しい。
ショックで少しクラクラしながらも先に進む。地図では、ここら辺から傾斜が少し楽になる筈だ。
それにしても、森の中で展望が無い上、高度計付き腕時計を持ってこれなかったのは、現在地が把握できず非常につらい。
メジャーな登山道なら、次のポイントまでの距離が掛かれた道標が置かれているが、
ここではそんなものは全く無く、『花山歩道』とだけ書かれた黄色プレートが点在している。
不慣れな人には頼もしいだろうが、こちらとしては「そんなもん分かっとうちゅうの。どこ辺か教えんかーい!」という気分である。
大龍杉と別れて1時間40分、ふと足元を見ると、スリムなセミの幼虫が居る。棒でつつくと、モソモソ動く。
これから羽化するつもりだろう。これから翌朝までの間に、
一旦中身が溶けて成虫に再形成されると思うと、生命って不思議なものである。
珍しいものが見れたので、ちょっと嬉しくなる。
何度か小さな丘を越え、暫く歩くと、延々と段差が続く急坂に当たる。
山の神社の階段のようで、先が隠れて見えない。
とりあえず疲れた体をヘナヘナと休め、ブドウパンを食べながら
「こりゃ、下手するとビバークだぞ」と思うが、良く考えると翌日までの水が足りないので、這ってでもたどり着くしかない。
パンを食べ終わると、山奥の16時だというのに、坂の上から2人組みの若者が降りてくる。
本日、登山道で人と会うのは3度目、延べ9人目である。
現在地がはっきりしないので、高度計を持ってないか尋ねると、
「持ってないですけど、(鹿之沢)小屋からここまで1時間半ですね。でも、登りはもっと大変かも。」
うひゃー。ワシのペースだと、プラス1時間は掛かりそうだな・・・。
疲れた体に鞭打って、横に巨石が鎮座している小ピークに出る。「ここが大石展望台かな」と思っているとそうでも無かった。
大龍杉から2時間後、突如登山道は展望が開き、テラスのように張り出た一枚岩に出る。
本物の大石展望台だ。展望は利くが、ガスっているのが残念。
登山地図によると、大龍杉の手前の焼峰から1時間40分。うげぇ、更に30分は遅れているという事だ。
でも、もう少し頑張れば、1616mの登山道最高点(因みに大川林道入口からの標高差は約1575m)に出るので、
そこを越えれば楽だぞ、と何とか希望を持って進む。
大石展望台から40分も歩くと、道はぐんぐん下り始め、木の茂りが疎らな湿地帯に出る。
多分ここ辺りが小鹿之沢なのだろう。
時々鹿之沢の谷が見える。鳥の声のコーラスにBGM付きで、
ちょっと霧で霞んだ森の谷間の夕日に照らされた光景が、非常に素晴らしい。
やがて大川の緩やかな源流を渡ると、数分で広場のような鹿之沢に着いた。
このポイントは、以前、宮之浦岳縦走途中に寄った時には見なかった場所だ。
小屋のそばにこんな場所があったとは思いもしなかった。
ただし、雑草が生えすぎて、伸びすぎた芝生のようになっているのが残念。
見覚えのある水場を通り、17:37やっと鹿之沢小屋に到着。10時間の山行であった。
もともとは永田岳まで行くつもりだったが、さすがにそれは止める。
小屋に入ると、2人の先客が居て、既に寝袋に入っている。
先日、宮之浦岳縦走の途中で寄ったが、体力の消耗が激しかった為、今日一日ここでゴロゴロしていたそう。ご苦労様です。
汗でびっしょりの服を着替え、パスタを食して日が暮れだした頃、ワシも床に入る。
小屋の中央には、暖を取るための焚き火スペースがあるのだが、そこに食いかけのパンが置いてある。
向かいの寝床でゴロゴロしているお二方に「ネズミに荷物を狙われない為の、生贄(?)のエサですか?」と聞くと、
「今朝ザックの中身を見ると、パンがかじられてたので、仕方が無いからそこに置いたのですよ。」と言う答え。
確かに、寝ていると、ネズミがワシのザックの中身を伺ってるようで、時々カサカサ音がする。
2年前泊まった時は、寝台に上がってくる事は無かったのに、行儀が悪くなったもんだ。
仕方が無いので、明り取りに使っていたケミホタルをネズミの通り道に置いてみる
と、やはり真っ暗じゃないと警戒するのか、それっきり静かになった。


つづく