屋久島 2004.4.29〜5.3 :7回目の訪問

●初日と2日目です。(コースタイムはレポート2/2)


【4/29晴:福岡発、屋久島へ】
夜中の0:30博多発。仕事が終わって何とか荷造りをしたが、今回もまたこんな時間になってしまった。
鹿児島に入りそろそろ疲れてきたので、4時から6時半まで仮眠を取る。
さんさんと朝日が照りつける中、鹿児島港に入り、8:45フェリー屋久島2出航。
車から出ると既に二等船室は占領済みだった。
仕方ないので、劇場(上映システムは直すつもりはあるのだろうか?)で仮眠したり新聞読んだりして時間を潰す。
11時、ふと横を見ると硫黄島が凄い迫力で見える。
しかし、「今まで移動中に硫黄島を見たこと無いぞ。もしかして屋久島島影も期待できるかも」と
デッキに上がると、雲のすそをまとった屋久島の島影が見える。
今までは上陸30分前でしかもかろうじて前岳だけ見ることが出来たが、今日は1時間半前でも奥岳までしっかり見える。おお感動!!この透明度は昨夏の台風一過以上だ。振り返ると開聞岳のシルエットも。調子に乗って写真を取りまくっていたが、計上してみると80枚を超えていた。
12時半すぎに上陸した後は、空気が澄んでいるうちにと、進路を南西に取り、永田岳と西部林道の垂直分布をパチリ。
大浦温泉で一風呂浴びて、安房へ。18時半に早めの夕食をとり、車で入山。
荒川口を下見して、バスに乗り遅れた登山者を荒川三叉路へ運び、紀元名水で水を補給して、淀川登山口についた時は20時。
車中泊者は周りに居るものの、どっぷり暮れた森の中は何か不気味だ。
車を寝台モードにして(足板組み立てただけですが)しばらく読書した後、スリリングな夢の中へ・・・



【4/30晴:淀川登山口〜宮之浦岳〜荒川口の一日縦走】
4:30起床。30分程で用意を済ませる予定だったが、結局もたもた1時間半かかってしまった。
6:07 登山届けを記入して淀川登山口出発。
6:36 淀川小屋到着(3分休憩)。水が無いように見える程透明度が高い淀川は相変わらず美しい。
7:26 登山道の横から話し声が聞こえてくるので、近道かと思って登っていったら、高盤岳展望台だった。
展望台の存在は以前から知ってはいたが、いつも案内板を見落として、宮之浦岳登山6回目にして初めてその場所がわかった。
トーフ岩の形が微妙に変わっているようだったが、後で確かめるとやっぱり北側の岩がずれていた。
7:41 小花之江河到着(3分休憩)大自然が造った日本庭園が相変わらず素晴らしい。
のんびりしたいのはやまやまだけど、四方の写真を撮って足早に過ぎる。
7:55 花之江河到着(10分休憩)ここらで腹も空き始めたので、ブドウパンを3個ほおばり小休止。
まだ冬枯れした苔ばかりなのが残念だが、こちらの日本庭園ぶりも良い。
8:15 黒味岳分岐 ここの赤土はいつも掘り返したばかりのようなのだが、なぜだろう?
8:25 投石岳のスラブが見えたと思うと、道は急に深くえぐれ、ロープが付いた岩場となる。
しかし、それほど危険でも無く。結構楽しい。
8:31 投石湿原到着 草むらの脇に水が沸いているちょっとした広場に付く。
そういえば、いつもはここ辺りで空腹に耐え兼ねて食事を作っていたが、今日はそんな事もないので、足早に過ぎ去る。
8:35投石平到着 平らな大岩を敷き詰めた広場のようだ。
電車のつり革を逆さにしたような形の金属の杭があちこちに打ち付けてある。
3年前に通った時には無かったが、道迷いが多いのか。
8:38投石岩屋到着 道のすぐ脇にある上、大きすぎて写真に収めるのに苦労する。
9:27ゲンコツ岩=翁岳登山分岐 
さっきから追い抜きを繰り返していた若者の団体がいたが、久留米大学のワンゲルだった。
左の宮之浦岳側に向かう人たちを尻目に、進路を右の翁岳に取る。
翁岳山頂に続く道は確かにあるのだが、ほとんどヤブコギ状態である。ところどころ道が消えているので、
分岐まで一旦引き返し、道を再確認して登りなおす。
9:45翁岳登頂断念 山頂までだいぶ近づいたところで道が分からなくなってしまった。
視界良好なので、戻れない事はないのだが、ちょっと怖くなって引き返す事にする。
でも、あとで確認すると、山頂まで10m位のところだった。惜しい。
9:56再びゲンコツ岩 気を取り直して宮之浦岳に進路を取る。
傾斜もきつくなり、小休止していると、赤髪と眼鏡が良い感じの美人の西洋ねーちゃんがやってきた。
見とれていると、「シカ」と言いながらワシに話し掛けてきた。指差す方向を見るとヤクシカの頭がササの間に見え隠れしている。
そういえば、いつもはあちこちで見るヤクシカもGWラッシュで出てこれないのか、今回見るのは初めてである
(結局は、今回の紀行で唯一のヤクシカ遭遇になってしまった)。
美人と微笑ましい小鹿でちょっと良い気分になった。
10:13栗生岳 現在、ワシのHPで公開している栗生岳山頂写真は、
台風中継のキャスターみたいなので、これを機にリニュアーアル写真を撮影(このレポート公開時には差換え済みです)。
10:29宮之浦岳山頂(22分休憩) そこはさながら鶏小屋のようだった・・・。荷物を下ろす場所を探すのに一苦労。
宮之浦岳に登るのは今回で6度目だが、こんな混雑見たこと無い。
携帯電話は"アンテナ3本"なのに20回位掛けてやっとつながった。
やっとこさ、タクシー会社に18時迎車手配と、宿にチェックアウトが遅くなる旨を伝える。
ブドウパン4個ほおばり中休止。さっきの西洋ねーちゃんは、耳つき食パンのサンドイッチを食べ終わったと思ったら、アスパラガスのような緑のものをかじっている。ほう、これが西洋風かと勝手に感心する。
もうちょっとゆっくりしたかったが、日帰りなので時間が無いので、一息ついたところで山頂を後にして木道を駆け抜ける。
11:02焼野三叉路(5分休憩) 永田岳がいい感じ。
ワシのHPのフロントページ写真を撮影する。腰に手を当てて"そこ"を方向を指差すポーズを作っている怪人を見てしまった山頂の人は何て思うだろう?
うげ、昼食後なのもあるが、腹がちょっと出かかった写真になっている。
ダイエットせねば・・・。
11:18平石
11:28平石岩屋 でかいことはでかいが傾いているし、雨も吹き込みそうなので、居心地が悪そうな岩屋である。
とりあえず、ここのピークを越せば後は下るばかりなので、これから楽になりそうだ。
平石岩屋から離れて、茂みに入った頃、何やらヘリコプターが低空飛行してくる。
「ああ、また誰か骨折って、救助呼んだのかな」(翌日、宮之浦岳山頂の写真を撮りにきた朝日新聞の取材ヘリだったと知る。
「あと、1時間早く来てくれたのなら、日の丸扇子を振って踊る怪しい登山者としてワシも登場していたのに・・・」と悔しがるも後の祭り。)
暫く歩いていると浮石に足を取られ、足首を思いっきりひねってしまった。
ちょっと痛かったが、フレキシブルな足首が取り得で、山では一度も捻挫した事が無いワシなので、気にせずに歩みを続ける。
宮之浦岳からの団体は全部追越したのか、人影がぱったり無くなった。
11:53障子岩 別名、坊主岩。高さ40m以上はありそうな岩で、ボウリングの球が欠けたような形をしている。
そのわずかな取っ掛かりに危なげに生えた木々に混じってシャクナゲらしい花が咲いている。
12:00第2展望台 ここは過去5度目の縦走で恵まれなかった悲願の場所である。
初回は疲労が酷くて寄る余裕が無く、2度目以降に通るときは大雨だった。6度目にしてお初にお目にかかる。
手前の小高塚山の山が邪魔だが、宮之浦岳や翁岳の雄姿が良く見える。おお、感動。
展望台本体と思える大岩の上には、一人の若者がのほほんとくつろいでいた。
12:19第1展望台 第2展望台の絶景も見れたので、次は第1展望台と・・・
あれ、標識はあるけど、それらしき場所が見当たらない。
とりあえず、木立のすきまからかろうじて宮之浦岳だけが見えるポイントがあった。
その先には幅0.5〜1m、高さ4〜5m位の大岩がブロック塀のように延びている。もしかして、これか?
登っていけない事は無いが、そのブロック塀大岩の上の絶景ポイントに行き着くには、50cm程の切れ目をジャンプする必要があり、素人にはお勧めできない。
命を懸けてたどり着いたところで、どう考えても第2展望台以上の絶景を拝めそうもないので、結局やめた。
12:37新高塚小屋(26分休憩) 数度に渡る「新高塚小屋宿泊者行方不明事件」対策の為、小屋からトイレへ「ここは船着場か?」と見紛うばかりの大げさな木道が作られている(2001年完成)。
途中にがテントも張れるスペースもあるし、小屋の周りは田んぼのような土質だったので(お陰で雨が降ると小屋の中に足型がいっぱい)、これは大歓迎である。まあ、今日は泊まらないけど。
トイレ休憩を取った後、水補給してブドウパン2個食べる。
13:46旧高塚小屋(8分休憩) また腹が減ってきたので、大きな倒木に腰掛けて、ミルクパン2個とチーズ鱈を食べる。
倒木すぐ横のテントの中から時折物音がするが、周りが明るいのに人影が無く奇妙な感じ。
14:00縄文杉 ここに来るときは、雨の時ばっかりなので、光をさんさんと浴びた森の長老に暫し見惚れる。
そばに居た人に頼んで、お約束の記念撮影も行う。
14:22夫婦杉 2本の杉が手を繋いだように見える杉。同じ仲間なら拒否をもせずに、体を共有しあう植物は何か不思議だ。
14:26大王杉 縄文杉登場までは、屋久島最大だった杉。何だか空洞部分の朽ち方が以前より酷くなったようだが、気のせいか。
大王杉を過ぎて、幾人か対向者をやり過ごしていると、何か見たような人が・・・
おお、ルパンさんだ。美女2人をお供につれて羨ましい限りである(本人は色々気苦労があったそうだが)。
海抜0mから登って来たところで、これから新高塚小屋周りでテン泊するのだそう。お互い、GWの屋久島上陸を予告していたが、本当に会えるとは感激である。
聞けば美女コンビはワシのファンだそうなので、山用名刺を渡して、握手して、後ろ髪引かれながらも後にする。
15:02ウィルソン株(5分休憩) 中に10畳の空間を持つ切り株。ここまで降りてくると、ちゃらちゃらした感じのハイカーばかりになる。
以前は切り株の中の水を喜んで汲んでいたのだが、数年前から切り株裏で用を足す人が増え、汚染されてるという事を聞く。
まあ、トロッコ道のトイレが整備されて大分キレイになっただろうが、うれしそうに水を汲む若者を横目に我慢する。
15:11翁杉 目に見える所はすべて苔に覆われて、すごい風格である。
15:23大株歩道入口(10分休憩) ようやくトロッコ道に出会う。1億数千万かけたトイレは圧巻。
15人位のガイド付き団体(仮称"団体A")が行こうとするので、「こりゃ、前に来られたら、かなわん」と慌てて出発。
しかし、「みだれ橋」3兄弟を渡っているうちに、ショートカットの裏道を通って前にワープされてしまった。また、暫くして追い抜く。
15:48土石流跡(10分休憩) 丸太で組んだバリケードが圧巻。何かの映画セットのようである。
小腹が空いてきたので、ブドウパン2個を食べ、脇の川から水を汲む。
のほほーんとしていると、団体Aが挨拶しながら追い抜いて行った。
16:33三代杉 三代杉周りで人の気配がするので、よく見ると団体Aがガイドの説明を受けているところだった。チャンスとばかり追い抜く。
16:39楠川歩道分岐 楠川歩道分岐を過ぎると、道脇の小さな広場に6人位の軽装の若者(仮称"団体B")が集まって、何やらキノコか何かの観察をしている。
横目で通りすぎると、後ろからドッドッドッと走るように追ってきた。
「すみませ〜ん」と口々に謝りながら抜いて行くのは良いのだが、道の脇で観察会を始め、こちらが追い抜いて暫くするとまたドッドッドッ「すみませ〜ん」と追い抜き、観察会を始め、こちらが追い抜いて暫くすると、またドッドッドッ「すみませ〜ん」と追い抜くの繰り返しには正直うんざりした。
17:01小杉谷集落跡(5分休憩) また腹が減ってきたので、ミルクパン1個を食いながら、水を汲む。
団体Bはとっくに先に行ってしまったが、今度は目の前を団体Aが通り過ぎていく。
ひとまず休憩が終わると、小杉谷橋を渡ってすぐの所のわき道を通り、川原に下りる。砂浜(?)を越えて、巨石に乗り、10m位上に構える鉄橋を眺めてみる。う〜ん、いい眺めだ。
再びトロッコ道に合流し振り返ると、団体Aが小杉谷・石塚分岐で休憩をしている。
後は、写真を撮っているうちに団体Aが追いつきそうになるので引き離し、写真を撮っているうちに・・・の繰り返し。
17:49荒川口 おお、狙ったように18時の十分前に着いた。でも、一日縦走で12時間か・・・目標は10時間だったのに。まあ、いいや。
駐車場を見れば、宮之浦岳山頂で予約したタクシーが、ちょうど入場してきて、一服を始めたところだった。
確認の為に声をかけてみると、慌ててタバコを消して出発体制を取り始めた。
こちらもまず濡れたシャツを着替えたいし、「もうちょっとしてからでいいですよ」と言ってはみたものの、急いでくれる運転手の行為を無碍にする事も出来ずに、乗車する。
18:15淀川登山口 愛車は何事も無かったように登山口で待っていた。この瞬間はほっとする。
辺りの日も暮れかかってきたので、一路今夜の宿へ。
その夜は足の筋肉痛でロボコップのような歩きになってしまった。修行が足りんな。


つづく