屋久島 2004.7.31〜8.6 :8回目の訪問

●4日目〜5日目です。(コースタイムはレポート4/4)


【8/3晴:休息日(林道ツーリング)】
前日の山行のお陰で、足が程よくこっている。今日は、バイクで林道巡りをしよう。10時ごろまで、地図とにらめっこしながら、どの林道にするか迷う。第一候補は大川林道、第二候補は宮之浦林道に決定。第三候補は黒味林道か。
チェックアウトを済ませ、まずは1時間かけて宮之浦の有名ラーメン屋へ。カレーの遅い朝食を取った後は、どこのレンタルバイク屋に行くか迷うが、林道第一候補と第二候補の中間に位置する某レンタカー屋に予約し、再び30分かけて安房に引き返す。
12:30レンタカー屋到着。車でやって来てバイクを借りに来る物好きは居ないようで、ご主人が問い掛けてきたが、林道巡りが目的と知るや否や、「これだと絶対故障しないのでいいですよ」とスーパーカブを推して来た。新聞配達などで古くから使われている名車だ。
数年前、プロのライダーを雇って東京からロシアまでそばの出前を持っていく冗談実験特番があった事を聞いたことがあるが、たった3回の給油で故障することなく目的地についたらしい超低燃費・高耐久性のマシーーンで、いっぺん乗ってみたいと思っていたが、こんな形で実現するとは(笑)。
3速ギアが付いているので、「クラッチ操作が必要だな」と思っていたが、通常の原チャリと同じで、アクセルをひねらないと繋がらない自動クラッチだった。便利だけど変なの。加速時は1・2・3速に変速が必要なのと、フットブレーキというのが、普通の原チャリしか乗った事が無い身には使い勝手が悪いが、まあ、暫く乗ってみたら解消するだろう。
「今日は林道巡りだからラフな格好でいいや」と思って、Tシャツ&バミューダ&サンダルの出立だったが、暫く運転しているうちに重大な過ちに気付く。林道にたどり着くまで片道1時間以上、腕・太もも・ふくらはぎが炎天下にさらされる上、油断すると加熱したギアボックスに素足が触れて火傷しそうになる。それにしても、車に慣れすぎてしまったのか、原チャリのスピードはじれったいもんだなぁ。街中だと良いけど、信号の無い真っ直ぐな道が恨めしい。トロトロと運転している間、他にする事が無いので知ってる曲を色々歌いながら猛進する。怪しい。
13:30そんなこんなで、大川林道入口に到着。ここからダート道となり、握りこぶし程の角が尖った石がゴロゴロしている。「パンクすんなよ」と、ちょっとびびりながら2速でGO!
時々、猿が慌てて道の端に逃げているが、茂みに入って安心したのか、道の脇からこちらをじっと見ている。「人間に慣れた猿が、作物を荒らしたり女子供に襲い掛かる防ぐ為、人間は怖い生き物だと思わせる必要があるのです」という教訓に充実に従うワシは、速度を緩めながら丁寧にガンを飛ばす。グラサンをかけた人間には遭わないのか、ビクッと反応して効果絶大。良く考えたら、金フレームで小さめのレンズだから、大きな黒目のオバケに見えたかもしれない。ごめんな。
たまに、道の左側が開けて、隣の鳥越峰まで丸見えになる所があるが、大川は樹林に隠れて所々しか見えないのが残念。
薄暗くなったり、明るくなったり繰り返すダート道(時々コンクリート舗装)をひたすら走ると、13:50花山歩道入口へ到着。道の脇には小さな沢があって、それほど暗くなく、良い感じの休憩所になっている。目の前のアスファルト舗装には、遠征してきたサワガニが歩いている。
ここまでは、昨年の花山歩道へ行く途中で歩いてきた。大川歩道は、ここから更に倍の道が続いている筈だ。
すぐ先の大きな沢を跨いだ橋を渡り、急に見開きがよくなった所、100mもいかない所でくじけてしまった。そこは、中州付きの大きな川を跨いだ長さ30m位橋だったが、ダンプでもへし折れないような頑丈なゲートが付けられている。バイクの侵入も許さないようで、脇にはご丁寧にチェーンまで張られている。うむや、ここまでか・・・。
暫く途方に暮れて、ゲート脇の清水で足を洗い、引き返す事に。
帰りは1速&2速でエンジンブレーキを効かせながら長い下り道をGO!
あと少しで大川林道入口というところで、水筒が無くなっているのに気付き、再び道を引き返す羽目に。恐る恐る登ったダート道も、2度目はもうコツをつかんで、調子良く3速まで上げる事が出来た。
結局、水筒が見つかったのは花山歩道入口手前の峠だった。やれやれ。
再び大川林道入口に戻ったのは15:30だった。気を取り直して栗生の黒味林道へ行くかと思うけど、ダート道は飽きたので、島を半周して宮之浦へ向かう。
16:50宮之浦林道入口に到着。森に入ったとたん出鼻をくじかれてしまった。そこには、大川歩道にあったのと同じタイプのゲートが・・・。
2年前にここの先を愛車で30分程登りつめ、ダート道がきついので降りて暫く歩いていたら、道脇の丘の上から1匹の猿がグルグル喉を鳴らして威嚇して来たので、ワシも「シェッ!シェッ!」と奇声を出しながら突進して応戦(念のために傘は下段の構え)、見事勝利した事があったが、あれも良い思いでになってしまった・・・(涙)。
気を取り直して、今度は楠川歩道へ向かう。
17:10楠川バス停横のドラ○もん像を激写して、林道へ。
麓から白谷雲水峡へ続く道だが、途中まで車でいけるという。何やら水門らしき物が沢山生えた謎の設備などを通り過ぎて、アスファルトが切れた頃、登山用(?)の駐車場があった。17:18ここからは歩きの世界だが、バイクならまだまだ行けるダート道だ。ところどころ台風4号による土砂崩れ跡が激しい。大人の靴位の岩で覆われ、コンクリート道の谷側は欠け落ちてぺろんと垂れ下がっている。こんなポイントを2箇所やり過ごしたが、3箇所目はバスケットボール程の大きさの岩で覆われており、流石のスーパーカブでも登れず断念する(17:23)。
バイクレンタル期限の6時間も近くなった事だし、安房に進路を取る。給油を済ませて、18:20頃レンタカー屋に到着。車庫へ持っていって点検を待っていると、ご主人「そこに置いといてくれれば良いですよ」と言って見に来ようとしない。「だって、スーパーカブは絶対壊れませんから。いいバイクでしょう。これを機会にファンになって下さい。」とご主人。おお、すげぇや、スーパーカブ。尻が痛いし足の置き場に困るのがたまにキズけど。
気さくなご店主に別れを告げた後は、宮之浦の今夜の宿へ。
腕だけでなく、向うずねと膝上の日焼けが酷く、その晩の風呂が大変だったのは言うまでも無い。




【8/4晴:休息日(永田浜海水浴・洗濯・環状道路ドライブ・小亀観察)】
今日は、屋久島8度目にして、初めて海を制覇する日だ。
宿の朝食を済ませ、11:00永田浜へ到着。コバルトブルーの海と白い砂浜が眩しい。
車の陰で海パンに着替えて海へ直行。砂浜を歩いている人はちらほら居るものの、海に入っているのは野郎が2人だけ。「この大きな海を、俺たちだけ2人で泳いでるってのも、すげえな」とか言っている。すまんね、お邪魔するで。
ゴーグル・シュノーケール・足ヒレを装着して準備完了。波の高さは大したこと無いのだが、その威力がすごい。ぷかぷか浮かんでいるとどんどん沖に流されていく。砂浜はゆるやかな放物線を描いているのだが、水の中は段々畑のよう、というか、大きな彫刻刀でえぐったような沢山の溝が海岸に沿って続いている。想像した程透明度は無いが、福岡の海と比べると流石に断然良い。
やがて海水浴客も3家族程増えてきた。岩場の漁礁や波打ち際を泳ぐ魚の群れに見とれていると、あっと言う間に2時間が過ぎてしまった。
駐車場脇のトイレ横にあった足洗い場で体を洗い、宮之浦へ洗濯しに向かう。
それにしても、真夏の屋久島の日中は非常に暑い。我が愛車はベースがラリー仕様で、ラジエータ配置の都合クーラー冷却力が弱い宿命にある。宮之浦へ到着すると我慢できず、涼と昼食を兼ねて屋久島環境文化村センターへ飛び込む。特産物を活かしたパスタ料理を堪能した後は、改めて、宮之浦川沿いのコインランドリーに到着。
ランドリー小屋も車の中も灼熱地獄だ。洗濯が終わるまでどこかに行くのも良いが、何度も車を乗り降りする気が起こらないので、ランドリー小屋の影にイスを置いて読書をする。途中、お茶を買いに近くの自動販売機へ行ってみたが、電力会社の方が、黙々と電柱1本1本を点検している場面に出会った。軽トラを改造したようなクレーン車だったが、助手が居なく、クレーンを操るのは乗っている本人。大変だなあ。
洗濯が終わると、ドライブを兼ねて島をわざわざ右回りに4/5周して永田の宿へ向かう。
半周を超えた辺りで18時になり、宿の女将が心配して電話されてしまったが、前から探していた中間(なかま)の車がくぐれる大ガジュマルをようやく探し当てたし、夕日が沈む口永良部島など素晴らしい景色や、夕日に照らされた永田岳山頂が雲の上から頭を出したマッターホルンのような姿が拝めた。最高。
19:10永田の宿に到着。この宿に泊るのは、昨年から3回目だが、流石に顔を覚えくれて、「宿帳記入は要りませんね」と女将。
夕食と風呂を済ませた後、今まで涙を呑んで逃して来た海亀観察しに、通称"カメハウス"へ。
産卵シーズンは7月で終わり、今は孵化が盛ん。ただ、自然保護の観点から、見世物風な"カメの観察会"は廃止され、"カメのお手伝い"になっていた。カメハウスで受付を済ませたら海亀の生態と保護のあり方の説明を一通り受けて、いよいよ海岸へ。
小亀が砂の中から出てきて海に向かうのを見守るのではなく、砂から出そこなったのを保護した小亀を海に放つのだそうだ。暗闇で光るもの(自然界では波しぶきや海面の照り返し)を小亀が目指して行く習性を利用して、ガイド役が懐中電灯で砂浜に置いた小亀を誘導。足ヒレを交互にピョコピョコ動かしながら砂浜を進み、やがて海水に到達する。仕草が可愛らしいのと、海に帰る(?)感動で、辺りでは次々と歓声が上がった。ワシは、小亀も良いけど、満天の星空がとても気になって仕方が無かった。
再び宿へ戻り、明日(カヤックツアー)に備えて床に就く。
昼間の海水浴で、2時間位大した事ないだろうと思っていたが、焼けた背中が痛くて大変だったのは言うまでも無い。



も少しつづく