花之江河歩道(はなのえごうほどう)




↑花之江河歩道の古い標識:ヤクスギランドから1時間のポイントにて。


ヤクスギランド奥部(標高1,000m)から花之江河(標高1,600mの
だいたい道のり9kmの登山道が花之江河歩道。

ヤクスギランド開園翌年の1972年10月、第27回国民体育大会(太陽国体)の山岳競技コースとして、
ヤクスギランドから旧石塚歩道の10km峠を結んで開拓された。
(他の主要ルートと違って山岳信仰の、ある意味生活道路だったという経歴が無いため、
ここだけ”歩道”ではなく”登山道”と差別化している地図もある。)

同時期に旧石塚歩道も廃道となり、
もともと旧石塚歩道だった 10km峠〜花之江河 の区間も、
この花之江河歩道に取り込まれて現在に至る。
そのためだかどうだか分からないが、
旧石塚歩道の別名だった「安房歩道」は現在、花之江河歩道の別名となっている。

もともとの目的が上記のとおりであり、花之江河へ行くメインルートは別にあるので
一般に利用されない道だが、大和杉へ逢いに行く隠れた人気コースとなっている
っぽい

遭難して方のレポートも読んだ事があるが、何せ人通りが少なくて気を抜くと道が荒れやすいので
道が不明瞭な所があったり、林業用のニセ道しるべテープに惑わされる事があったりするので、山慣れしていない方は充分注意が必要。


花之江河歩道の入口

↑花之江河歩道の入口(ヤクスギランド側):
散策路に傾斜が急な階段が取ってつけたように現れ、只ならぬ雰囲気を醸し出している。
実に分かり易い入口。
隣奥にチラ見しているのは三根杉(みつねすぎ)。


↑花之江河歩道の入口(ヤクスギランド側):
階段を登ってヤクスギランドの遊歩道を見下ろしたところ。
階段を越えた先は観光ルート寄りなヤクスギランド道とがらっと風景が変わり、
振り返りながら「さらば俗世間、ちょっとの間だけ」って感じ。


↑花之江河歩道の入口付近:
入口の階段を越えて本格的な山道を歩きはじめると、
「ヤクスギランドを散策される方は引き返して下さい。これは花之江河へ通じる登山道です。」と
赤文字強調で書かれた警告板が3度も現れる。
くどくて笑ってしまうが、ヤクスギランドの一般観光客はこうでもしないと迷い込んでしまうんだろうなぁ。


↑歩道を歩き始めて10分後に現れた標識:
歩道両端の進行方向が記されている。昭和の香りがする。


大和杉(やまとすぎ)


↑歩道分岐から眺めた大和杉:
胸高囲10.2m・樹高34.9m・
樹齢3000〜4000年?。標高1260mに居る。
窪地で風の影響が少なかったためか、
島で稀なスレンダーボディ。


↑大和杉の根本:「名屋久杉が居るところ、清水あり」
とワシは勝手に言っているけど、
ここでも例に漏れず、幹のすぐ手前を
小さな小さな川がさらさら流れていた。

↑根本から見上げた大和杉:
すらっと伸びたスレンダーっぷりが
よく分かると思う。
かっこえー。



↑大和杉の根本にて:
人歩きからのダメージが少ないお蔭で根本まで近づく事ができる。
木肌はふかふかの見事なコケが着生していた。
「縄文杉もかつてはこうだったよなー、
人が押し寄せてあんな風に規制されるようになってほしくないものだ」と思っていたが、
ムック本『屋久島 トレッキングサポートBOOK 2013』(ネコ・パブリッシング社)の写真を
見ると、大和杉の前に何やら細い赤ロープが・・・。これは一体・・・?
(同時期発売のムック本『屋久島ブック2013 別冊 山と渓谷』(山と渓谷社)では異常なし)。




ビャクシン沢渡渉点


↑ビャクシン沢渡渉点の手前の眺め:
花之江河歩道の半分に差し掛かったところで現れる、増水時注意の看板。
いよいよ来たなー、と思った矢先、登山道はすとんと落ちて川に下りる。


↑ビャクシン沢渡渉点より上流側の眺め:
渡渉点は大きな平べったい一枚岩が占めており、
普段は端の溝を申し訳程度に水が流れている。
他の渡渉点にあるような飛び石伝いのテクニックはいらない。:
ただし、平べったい一枚岩だけあって、ここが増水したら渡るのは難しいだろう。


↑ビャクシン沢渡渉点から下流側の眺め:
渡渉点の上流側は殺風景だが、下流側にはキレイな光景が隠れている。



↑ビャクシン沢渡渉点から少し下流側の眺め:
ちょっと深くなった箇所の水がほのかに緑色になって美しい。


↑ビャクシン沢渡渉点の奥側からの眺め:
沢を渡りきると少し急な斜面を上り、
渡渉する前に歩いていた尾根筋の隣の尾根筋を登る事となる。


みはらし台(展望所)


↑みはらし台の上り口:尾根筋の森を進んでいると何やら大きな岩々が現れる。
登山道は大岩をなめるように延びており、
目の前に写真の標識が否応でも突きつけられる。
展望所へは、岩の上から垂れているロープを使って上がる。



↑みはらし台からの眺め:
ひたすら森の中を進む花之江河歩道で唯一の360°展望所。
4つ並んで見えるピークの左端は黒味岳。
右端は翁岳。翁岳の隙間から宮之浦岳が覗いている。



↑みはらし台の上:上の写真の反対側。
みはらし台の大岩の上は傾斜があって、ざらざらして滑りはしないものの、
高所恐怖症にはちょっとビビりもの。
右足つま先の先に見える影の部分が登山道。


石塚小屋


↑石塚小屋:森の道も飽きてきた頃、
「この先、屋久杉ランドへの歩道は荒れています。気をつけて」との標識が出てきたと思うと、
左側の木立の陰からご覧のように劇的登場。



10km峠〜花之江河


↑10km峠:手前が花之江河方面で、写真の右奥の道は石塚小屋方面。
左に赤いロープで封印されているが旧石塚歩道
(詳細は「トロッコ軌道(安房線)」コーナーをご参照下さい)。
ここから花之江河の道のりは、もともと旧石塚歩道だった。



↑石割水: 石塚小屋から5分の水場にして、
荒川支流の石塚小屋沢の源流。
岩屋のような大きな岩が2つ、ででんと居座っており、
下からこんこんと清水が湧いている。



↑突如に現る金属製のハシゴ:
この地点には3箇所、はしごを使って人丈以上の大岩を上り下りするポイントがある。
昔の文献では、このようなハシゴ場の描写は無く、
代わりに15mの滝など現状にないポイントの記録がされている。
花之江河歩道ができたばかりの頃は、この岩場を大きく避けて通るルートだった?



↑丸太の橋: ハシゴ:するどくえぐれた谷間に、ワイヤーで吊って置いただけのワイルドな橋。
バランス崩して落ちたら大怪我もので、
花之江河歩道で一番ハラハラするポイント。
昔の文献にも登場するので、少なくとも40年以上前からこの状態だと思われる。



↑花之江河小屋跡: 現役の頃は許容人数15名程度。
1963年の豪雪で潰れ、その十年後位に建てられた石塚小屋に役目を譲っている。
小屋の周りはコケが積もり積もって、埋もれた木道が逆に溝になって小川化している。。



↑花之江河歩道の入口(花之江河側)、と言うか出口:
普段の黒味岳・宮之浦岳登山では見られないアングル。



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