ちょっと行きにくい名瀑たち

屋久島の滝は車で見に行けるものが多いが、屋久島全体でみると
落差100mの竜王滝など沢登りをしないと見ることが出来ない名瀑が数多くある。
高度なテクニックを要する沢登りまでとは言わないが、ちょっと行きにくい名瀑を以下に紹介する。

蛇ノ口滝は、『蛇ノ口の滝ハイキングコース』を片道1時間半かけて歩いた所にある。
ハイキングコースと言っても、昔の島民基準のハイキングで、
太忠岳登山と同レベルの登山コースとなる。

滝壺前を含めると、濁流の大川を岩にへばり付きながら渡らなければならないところが2箇所あるので、
太忠岳登山より危険度が高い。
また、ヘゴやシダが茂った南国ジャングルモードのハイキングコース入口付近では、
蚊の大群が纏わり付いて、一人カンフーを披露する羽目になる。
恐るべし屋久島のハイキング!


羽衣ノ滝は、鯛ノ川千尋滝の上流にある小滝で、原歩道を片道2時間弱歩いた所にある。
最近の登山地図には明記されるようになったが、古い文献に出てこないので、
沢登りをする人がつけた名前が広まったようである。


トンゴ滝は安房川の河口から3km上流にあるが、安房川を遡上しないと見る事が出来ない幻の滝である。
名前の由来は・・・知らない。
(仏教用語の"頓悟"?)

お谷ヶ滝は栗生川の支流である小楊子川の河口から1.5km程上流にあり、
左岸の小楊子林道から下るか、小楊子川橋から岸沿いに歩いて行く事ができる。
栗生集落の人々にとっては、昔からの人気スポットらしいが、
道標やはっきりした踏み跡が無いので、よそ者はちょっと苦労する。


落の滝は、落ノ川源流付近にあり、空港付近にてその姿を山肌に見る事が出来る。
永久保集落の奥から高圧線鉄塔メンテ道を経由して25分程で行く事ができるが、
メンテ道からの登山道が非常に分かり辛い。

羽神の滝は、白谷川の支流で、白谷雲水峡へ向かう道路(白谷雲水峡宮之浦線)のすぐ脇にある。
だから、時々車の通る音が聞こえたり、ガードレールが滝頭の横にコンニチワしてたり、気になる人は気になるらしい。
ただし、垂直に近い断崖絶壁なので道路から降りれなく、
牛床詣所方向の林道の終点から、登山道を30分程歩いて行くのが常識。
林道の終点から森に入って暫くは、道が分かりにくいので要注意。
白谷川を徒渡したとこは良かったが、白谷川水遊びの道標につられて道を間違え、1時間悩んでしまったゾ。



鈴川の滝は、鈴川のやや下流側にあり、沢登りで連れて行ってもらうまでノーマークだったが、
農地へ用水路が引かれており、頑張って調べてみれば集落からアクセスする事もできる。


湯川の滝は、湯川の中腹にあり、県道の湯川橋や湯川林道から一部眺める事ができるが、
間近で見るには川を遡行するしかない。

安房川の千尋滝は、鯛ノ川にあるのと同じ名前であるが、本名は中島権現滝という。
荒川口から歩いて20分で屋久島電工旧独身寮に着くが、そこから滝前までは独身寮裏口前から200m下り25分、
また、旧独身寮から15分歩くと滝を見下せるリフト発着場に着く。
ただし、屋久島電工の管理区域内で、『トロッコ通行で危険だから』との建前で、
付近一帯は一般立入禁止になっているので、幻の滝である。


活火山の立入制限や不法侵入のように、法的な強制力は無いようだ。(電力施設は除く)
ただ観光客の立入りを認めてしまうと・・・
@登山者がトロッコ車通過の邪魔になる。
A電力施設への運営妨害(いたずらではなくても無意識にそうなる場合もある)。
B登山道としての安全確保問題(整備手間や予算や事故責任など)。
C行動範囲追加による遭難の増加や捜索範囲の拡大。
Dオーバーユース問題(自然破壊、道の磨耗、ゴミなど)。
E辺りの景観や中島権現滝水量に影響を与える発電所へのバッシング。
と、ちょっと考えただけでも、これだけ厄介ごとが出てくる。

ワシの場合、荒川口のゲートに、
軌道車運行中につき危険ですから、通行を禁止します。なお、縄文杉へのみちではありません。 屋久島電工(株)
という看板があったので、
年も暮れた12月30日、「そんなら、島の方が仕事納めをしている今なら、全く問題ないんだね」と、
ゲート横の鉄条網に、何故か不思議なことに人が通れるような隙間がいつからか開いているので、そこからお邪魔した。
もちろん、『来たときよりも美しく。後に残すのは感謝の気持ちだけ』の精神に則り行動しましたよ。
立入りが法的に規制されてしまわない為にも、滝見を検討されている方は、責任を持った行動をお願いします。



蛇ノ口滝(じゃのくちたき)


↑蛇ノ口滝の正面:
滝壺付近から見上げると落差30m程だが、この上に傾斜を変えて100m程続きがある。
滝の幅に対して水量が足りないので、普段はしょぼしょぼしか流れていないように見える。
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↑蛇ノ口滝の滝壺:左側が滝、右側は鈴川の下流方向。
滝の幅が50mだから、特大プールの大きさがある。
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↑蛇ノ口滝の上部:蛇ノ口滝ハイキングコースからの眺め。
これはほんの一部で、尾之間歩道を淀川登山口に向かうと、
長さ100mの滝上部の全貌を見ることが出来る。



中島権現滝(千尋滝)(なかじまごんげんたき)
 

↑上から眺めた中島権現滝:安房川第一発電所リフト発着場横から撮影。
大まかに3段になった滝で総落差約80m。
一枚岩だけど、あちこち削り取られて荒々しくなったその姿は、
屋久島の川の激しさを物語っている。
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↑大雨の中島権現滝:
鯛之川千尋滝のミニチュアみたいなのや、横に向きを変えて2段になっているものや、
雨どいみたいなショートカットを流れるのもがあって、滝の見本市みたいでにぎやか。
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↑上流ダム放水時の中島権現滝:
上の写真よりも更に本気の姿。
とは言え、上流に荒川ダムが出来る前はこれが普通の姿だったようだ。
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↑下から眺めた中島権現滝:安房川第一発電所横から撮影。
ティラノサウルスの頭蓋骨のようで、中々の迫力。
上流の水は第1発電所と第2発電所を経由して港近くまでバイパスされている為、
普段はしょぼしょぼしか流れていないのが残念。
ただし、大雨の時は、く字型とI字型が組み合わさった激流が走り、往年の勢いを取り戻す。


↑正面から眺めた中島権現滝:
安房川第一発電所リフト発着所から30分下った地点より撮影。


↑中島権現滝の滝壺:多段滝で勢いが無いからか、意外と滝壺は小さい。
植物の成分が混じっている為か、底が見えない位、水が緑掛かっている。

 
羽衣の滝(はごろものたき)

↑羽衣の滝:
落差6mとあまり高くないが、奥行きがあるのと間近で見るので結構大きく見える。
滝頭は細いのに幅30mの川幅いっぱいに滝水が広がっている自然の造形は見事。

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トンゴ滝(とんごたき)

↑トンゴ滝:安房川河口から3km程上流にある落差30mの滝。
一般登山道、林道、安房トロッコ道、カヤック遡上など色々試してみたが、
結局泳いで行くしか辿り着く方法は無いようだ。
ライフジャケットと途中までのカヤックは必須アイテムだが、
安房川はここから流れが緩やかになるので、雨で増水して無ければ特に危険は無い。
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お谷ヶ滝(おたにがたき)

↑お谷ヶ滝: 5段で総落差約30m。
ジグザグになったその姿は"稲妻型”とよく称される。
悔しいことに、写真でその迫力を表現するのは不可能だが、
川原に出たたところで見上げるような滝が姿を現したときは息を呑んだ。
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落の滝(おとすのたき)

↑落の滝:詳しい落差は不明。
空港側から見ると数十m有りそうだが、近くで見ると精々12m程度の感じだった。
60mと書かれたレポートも見た事あるが実際どうなんだろう
(水の落下時間を計っとくんだった)。
なお、元旦なのに左下の怪人物が涼しそうな格好をしているのは、
ただの暑がりバカなので気にしてはいけない。
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↑林道から眺めた落の滝:
空港あたりから山肌にその姿を見る事ができる。
(右下の枠内はその拡大写真)
よその地域だと、白糸の滝と呼ばれそうなまっすぐな姿だ。



↑落の滝,、もう1枚:
ここから眺めると、やっぱり落差14m前後くらいなんだよなー。さらに上にここから見えない部分があるのだろうか?
そんな事より、カッコイイ。


↑落の滝,の滝壺:
立って歩ける程の深さ。ゴーグルをつけて潜ってみると、浅いスープ皿のような姿をしており、
所どころに小さな岩が転がっている程度で砂利が無いのが印象的だった。


羽神の滝(はがみのたき)

↑羽神の滝: 落差60mあるらしい・・・
牛床詣所方向の林道の終点から徒歩30分ほどでたどり着くが、
登山道の入口あたりの道が分かり辛い。
宮崎の行縢の滝のミニチュア版のような、垂直壁を一直線に落ちる判り易い形をしているが、
水量が乏しいのが残念。
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↑羽神の滝の滝壷:
滝の落差の割りには、水量の乏しさと、
落下の途中で水が引っかかって落下速度が落ちているせいか、
滝つぼの奥行きは1m程しかなかった。
(落盤の影響もあるかも)。




羽神の滝より登山道を振り返る:
滝の手前は、土石流と滝頭の林道工事の影響らしく、辺り一面落石で埋め尽くされている。
滝から来た水は、中央を流れず左岸の端っこを申し訳程度に流れていた。




↑宮之浦港から眺めた羽神の滝:
前羽神岳の中央にその姿を見る事ができる。



鈴川の滝(すずこのたき)

↑鈴川の滝: 落差20m。粗削りの彫刻作品のような姿がカッコイイ。
下流の林道橋から2時間半かけて沢登りしてみたが、
ヤブコギ急斜面登山の技術があれば滝頭の用水路から下りてくる事もできる。

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↑鈴川の滝の滝頭: 複雑で荒々しい様相。
向かって右側の陰には農業用の取水口がある。



↑鈴川の滝の滝頭からの眺め:
滝壺を見下ろしたところ。農業用水路にじゃぶじゃぶ漬かりながら撮影。凄い迫力にビビりまくり。



↑鈴川の滝から引いた用水路: 画面奥が滝頭。
滝の上に登るとこんな感じで、麓へ渡すための用水路が作られてある。
水量凄すぎて、側面からあふれまくり。


↑鈴川の滝の取水口: 上の写真の用水路の突き当り部分。
洞窟温泉のように掘ったドームの奥に穴があり、物凄い量の水が流れ込んでいた。


湯川の滝(ユーゴーのたき)


湯川の滝: 三段あり、一段目6m+斜面7m+二段目5m+三段目4mで、総落差22m?
写真は三段目で、湯泊林道から見えるのはこの部分だけ。


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