千頭川支線跡(仮)(ちがみがわしせんあと)




↑千頭川支線の平均的な様相: 
レールは回収されて、落ち葉や土砂に埋もれた枕木だけの道が続く。

 
安房トロッコ軌道の支線。
千頭川集落跡の標高400m始点から、ヤクスギランド線沿いの標高640m終点まで、長さ5.0kmのトロッコ線路跡。
正式名称は「安房76支線」。
表題は分かり易い(?)ように千頭川支線と仮称にしたが、ジトンジ川支線と呼ばれたかもしれないし、
そもそも、業務用にしか使われなかったので、愛称などなかったかもしれない。


1969年の熊本営林局下屋久営林署による伐採業務用トロッコ運行終了と同時期に廃線となった。
上部は並走するように林道ヤクスギランド線が開通予定だった上、
付近に屋久杉の資材も残っていないため、とっととレールを剥いで撤収したようだ。


当調査時、千頭川集落跡からの帰りは、千頭川橋横にある水道から貯水槽経由で登り、
上記地図のA点からB点をショートカットし、C点から林道に出てみたらちょうど1時間だった。
こっ、これは・・・集落跡調査とか沢登りのエスケープルートなどに利用できるかもしれない。
(林道からC地点経由で、道なりに始点まで下った場合のタイムは1時間半だった。)

また、林道のスタート地点から、上記地図C地点経由にて終点まで歩いてみると1時間かかった。
帰りは一旦軌道跡を10分程下り、横の尾根筋を10分程ショートカットして林道に出たが、
そこからスタート地点まで徒歩5分であった。行きの1時間は何だったんだ(笑)。



起点(千頭川集落跡)

↑千頭川支線の起点跡: 奥に見えるのは現役の安房トロッコ軌道の本線。
1970年位までは、ここに分岐があって手前に千頭支線が伸びていたはず。


↑千頭川支線の起点跡: 上の写真から引いてみたところ。左端に取り忘れられたレールが見える。


↑千頭川支線の起点跡: 上の写真から更に下がったところ。
ここはまだレールが残されている。
左の苔むした石垣の上に集落の住居跡があった。


↑千頭川の軌道橋跡: 集落から抜けたところで最初にわたる橋。
昔はこの上に枕木とレールが敷かれていた。
増水した川に押されて変形しているが、コンクリートの基部がしっかり残っている。


↑千頭川の軌道橋跡から下流側の眺め: 奥に現役の安房トロッコ軌道の橋が見える。


↑起点近くからの眺め: 千頭川の橋を渡って下を見たところ。
現役の安房トロッコ軌道と、さっき下流側に見た橋が奥に見える。
下の線路脇に簡易貯水槽があり、この辺りの沢から導水管が伸びているが、
それが下の本線への近道となっている。


↑起点近くの眺め: 集落を出てしばらくはつづら折りで高度を上げる。
さっき通った軌道跡を見下ろしたところ。残された枕木が見える。


↑起点近くの眺め: 集落を出て高度を上げている途中にも、建物の跡らしき石積みがある。


下部の様子

↑軌道下部の眺め: 軌道跡のほとんどに残っているのは枕木だけで、
外しにくかった土砂に埋もれていた等の理由だろうが、たまにレールが残されていた。


↑橋の跡: 千頭川支線は地図上で千頭川の支流を3回渡る事になっているが
(実際は軌道上部にもプラス3回支流を渡るところがあった)、
どちらもこのように跡形もなく流されていた。
奥に対岸の基部が見える。
幸い、支流は浅く岩がごろごろしており、豪雨時でなければ歩いて渡れる。

 

↑軌道下部の眺め: 灌木が一番密集していたところ。
半袖で通り抜けたら、腕が擦り傷だらけになった。




↑切り通し: 連続で2ヶ所あった。
単調な線路(跡)歩きでこんなの出てくるとわくわくする。


↑軌道下部の眺め: 倒木とシダの草むら化で、台風後の森の中みたい。


↑軌道下部の眺め: 切り倒された(?)木が障害物競争のバーのよう。

 

上部の様子

↑千頭川支流の支流にかかる橋の跡: 小滝をまたいだ城壁のよう。


↑千頭川支流の支流にかかる橋の跡: 上の写真を別角度から。
ヤクスギランド線から沢を下ってトロッコ軌道跡にぶち当たる場所がココ。



↑軌道上部の眺め: 小さなダムのような石垣の上に、整然と並んだ枕木が取り残されていた。


↑軌道上部の眺め: 涸れ沢をまたぐ橋の跡。
骨組の丸太が崩れ落ちていた。
枕木は流されてもうない。



↑軌道上部の眺め: 小川になった軌道跡。


↑軌道上部の眺め: 当軌道で貴重なレールの姿。


↑軌道上部の眺め: 腐ってそうで渡れないが、橋架はほぼ原形を留めていた軌道橋跡。


↑軌道上部の眺め: 終点直線の最後の涸れ沢。
本来は対岸まで軌道橋が架かっていたのだが、跡形もないどころか
流されてきた大岩がごろごろ転がって、軌道で一番悲惨な光景と化していた。
それにしても、上部に登るほど沢の規模が小さくなって、
沢を降りて渡る必要は減るだろう、と思っていたら、むしろ逆だったのに驚いた。
林道ヤクスギランド線に近づいているお蔭で、車が通る音がちょくちょく聞こえるのが妙な感じ。


終点

↑軌道の終点: 進行方向に向かって眺めたところ。
線路跡の先は、少し傾斜が急になっている。
終点らしい遺物は何も残っておらず、ふっと途絶えた感じ。


↑軌道の終点: 上の写真から更に近づいたところ。
どん詰まりの先は、雨の日に川ができそうな溝で、きりが良いのでここで敷線を止めた感じがする。



↑軌道の終点: どん詰まりから振り返ったところ。
木立は多いものの、まばらに生えて森は明るい。現役時はここ一帯が更地だったのだろう。


トロッコ軌道のページに戻る
やくしまのメインページに戻る
つぼやんのメインページに戻る